モーツァルト、交響曲第41番を完成 壮麗な終楽章で“対位法の花火”

【ウィーン 8月10日】
作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(32)が本日、交響曲第41番ハ長調 K.551 の総譜を書き上げた。今夏に連作している新交響曲の掉尾を飾る一本で、輝かしいハ長調の響きと充実した対位法書法が特徴。年内のウィーン市内での披露に向け、関係者の間で期待が高まっている。

作品は四楽章構成。第1楽章は壮大なソナタ楽章で、金管とティンパニを伴う晴朗な主題が全曲の表情を牽引する。第2楽章は深い陰影をたたえたアンダンテ。第3楽章メヌエットは宮廷の威厳を備えつつ舞曲としての快活さを失わず、白眉は終楽章のアレグロ・モルトだ。短い動機が次々とかみ合い、最後は複数の主題が同時に響く壮観のコーダへ -ウィーンの楽師は「対位法の花火」と評している。

編成は管弦楽(木管・金管・ティンパニ・弦)。音響は祝祭的ながら過度に重くならず、細部まで明晰に設計されている。近年の室内楽やオペラで磨かれた精緻な語法が交響曲のスケールで結実した格好だ。

今夏に完成した一連の交響曲(変ホ長調 K.543、ト短調 K.550)と並び、本作は作曲家の新機軸を示す柱と目される。音楽関係者は「劇場の聴衆だけでなく、学識ある愛好家にも訴える二重の魅力を備える」と口をそろえる。公開演奏の日程は未定だが、関係者は「近く市内の劇場での演奏会を調整中」としている。

— RekisyNews 文化部【1788年】

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