虎、21年ぶりの頂点へ──歓喜の道頓堀で“カーネル飛ぶ”異様の夜

【大阪・道頓堀 10月16日】

今夜、阪神タイガースが21年ぶりのセ・リーグ優勝を決め、大阪の街はかつてない熱狂に包まれた。明治神宮球場で行われた対ヤクルトスワローズ戦は10回引き分けに終わったが、この結果により、阪神の1985年ペナントレース優勝が正式に決定した。

優勝が決まった瞬間、関西一円ではタイガースファンによる祝賀の嵐が巻き起こり、とくに大阪・ミナミの繁華街・道頓堀周辺は一大騒然となった。興奮冷めやらぬファンが道頓堀川へ飛び込みを敢行するなど、無数の人々が喜びを爆発させた。

なかでも象徴的だったのが、道頓堀沿いのケンタッキーフライドチキン店前に設置されていた「カーネル・サンダース像」がファンによって川に投げ込まれるという異様な騒ぎだ。これは、阪神の4番打者ランディ・バースに似ているとの理由から“胴上げ”の一環として行われたもので、現場は騒然とした。

この出来事はのちに、“カーネル・サンダースの呪い”という都市伝説の発端として語られることになる。以降、阪神は長らくリーグ優勝から遠ざかり、この日の「飛び込み」と「人形投げ」が不吉な兆しだったのでは、との声も一部でささやかれた。

21年ぶりの歓喜に沸いた阪神ファンの姿は、大阪の街にとって忘れがたい“熱狂の夜”として刻まれるだろう。

— RekisyNews スポーツ面 【1985年】

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