【東京 10月15日】
本日、政府は治安維持法を正式に廃止する旨を官報で公布した。これにより、大正14年(1925年)の施行以来、20年にわたって政党活動、思想・言論、集会・結社の自由を制限してきた法律が、ついにその幕を閉じることとなった。
この廃止は、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)からの勧告に基づくもので、日本の戦後改革の一環として進められている「民主化指令」のひとつである。治安維持法は、国家体制の変革を目的とする運動を厳しく取り締まり、特に共産主義者や反戦活動家に対して弾圧を加える法的根拠として機能してきた。
昭和初期には拡張的な改正が重ねられ、思想犯保護観察法や特高警察の制度とともに、国民監視の象徴的存在として知られていた。多くの国民がこの法律のもとに逮捕・投獄され、中には拷問や獄中死に至った者も少なくない。
今般の廃止により、政治的自由や思想の自由が、法的にも大きく保証される転換点となることが期待されている。すでに政府内では、戦前に検挙・収監された言論活動家などの釈放・名誉回復に向けた動きも始まっている模様だ。
市民の間では、「やっと口に出して言いたいことが言える時代が来た」と安堵の声が聞かれる一方、「本当に自由な国になるには、まだ道のりは遠い」との慎重な見方も根強い。
治安維持法の廃止は、戦後日本が歩むべき新しい国家像――自由と民主の社会へ向けた、第一歩である。
— RekisyNews 政治面 【1945年】