ぬいぐるみたちの愛らしい冒険譚──『クマのプーさん』本日出版される

【ロンドン 10月14日】

本日、英国の作家A・A・ミルン氏による新たな童話作品『クマのプーさん(Winnie-the-Pooh)』が、ロンドンの出版社メシュアン社より発売された。

イラストは、前作でも息子との物語に命を吹き込んだ画家E・H・シェパード氏が担当している。

この作品には、ミルン氏の愛息クリストファー・ロビン少年と、彼のぬいぐるみ仲間である“プーさん”をはじめ、“ピグレット”、“イーヨー”、“ティガー”、“カンガ”、“ルー”などが登場し、架空の森「100エーカーの森」を舞台に繰り広げられる、素朴でユーモラスな冒険が描かれている。

ミルン氏はこれまで、詩集『クリストファー・ロビンのうた』などを通して親子の世界を詩的に表現してきたが、本作ではその世界がより豊かに、かつ物語性をもって紡がれている。

語り口はやさしく、子どもにも読みやすい文体ながら、大人にとってもどこか懐かしく心温まる内容となっており、親子で楽しめる童話として高い評価を得ることが予想される。

特に、主人公のプーさんは、少しのんびり屋で、はちみつが大好きな愛嬌あるキャラクター。読者は、彼と仲間たちの素朴で愛すべきやり取りを通じて、友情や想像力、そして日常の小さな喜びに触れることができるだろう。

ロンドン市内の書店では朝から親子連れが列を成し、初版の売れ行きは好調。童話の新たな金字塔となることは間違いないとの声も上がっている。

この秋、読書の季節にふさわしい一冊として、静かな感動が英国中に広がり始めている。

— RekisyNews 文化面 【1926年】

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