【東京 10月14日】
プロ野球・読売ジャイアンツの「ミスタージャイアンツ」こと長嶋茂雄内野手(38)が、本日後楽園球場で行われた対中日ドラゴンズ戦をもって現役生活に別れを告げた。多くのファンが見守る中、背番号3がグラウンドを後にする瞬間、スタンドには万雷の拍手と涙が溢れた。
午後1時、今季セ・リーグ公式戦の最終戦として行われた試合には、朝から球場周辺に長蛇の列ができ、球場は超満員の観客で埋め尽くされた。この日ばかりは勝敗を超えて、誰もが“ミスター”の一挙手一投足を見届けようと息をのんだ。
3番・三塁でスタメン出場した長嶋は、最初の打席で見逃し三振を喫したものの、第2打席では中前打を放ち、観客から大歓声が沸き起こった。守備でも三塁ゴロを軽快にさばき、かつての雄姿を彷彿とさせた。
試合は4対1でジャイアンツが勝利。試合後、長嶋はマウンド上に立ち、涙をこらえながら「今日まで野球を続けてこられたのは、ファンの皆さまのおかげです。ありがとうございました」と声を振り絞った。
場内は総立ちとなり、「ナガシマ」コールがこだまし、選手や関係者、ファンの誰もがその偉大な功績に敬意を表した。花束贈呈では王貞治選手が目を潤ませながら花束を渡し、固い握手を交わす場面も。
1958年に立教大学からジャイアンツに入団した長嶋は、通算444本塁打、2471安打、1522打点を記録し、数々の伝説を築いた。その華麗なプレースタイルと、スター性あふれる人柄は、まさに昭和の象徴といえる。
日本球界は今、大きな時代の節目を迎えた。
— RekisyNews スポーツ面 【1974年】