東京タワー、ついに完成──世界一高い鉄塔が都心にそびえ立つ

【東京 10月14日】

本日、東京都港区芝公園にて総合電波塔「東京タワー」が竣工を迎えた。高さは333メートルに達し、エッフェル塔(フランス・パリ/312メートル)を上回る、世界最高の自立鉄塔として世界にその名を刻んだ。

建設を担当したのは、日本電波塔株式会社(代表・前田久吉氏)。国内テレビ局の増加に対応し、電波の混信防止と広域送信を目的として、昭和31年より構想が練られていた。着工は昨年6月で、わずか1年4カ月という驚異的なスピードで完成に漕ぎ着けた。

この日、現地では関係者による竣工式が厳かに執り行われ、高さを象徴する鉄塔のてっぺんには、真紅の日の丸がはためいた。出席者の間では、「日本再建の象徴」との声も上がり、戦後復興を象徴する国家的プロジェクトの完成を讃える空気に包まれた。

構造は鉄骨造りで、その重量は約4,000トン。特に注目すべきは、建設の安全性と技術水準の高さであり、設計監修を行った構造工学者・内藤多仲博士の名は国内外から称賛を浴びている。

塔には150メートルと250メートル地点に展望台が設けられており、都心を一望できる観光名所としての活用も見込まれている。また、テレビ各局の送信アンテナもすでに設置が進められており、来月より本格運用が開始される予定だ。

高度経済成長のさなかにおいて、東京タワーは単なる建築物にとどまらず、新しい時代の「希望」と「技術力」の象徴として国民の誇りとなっている。地元住民の一人は、「空に向かって立つ姿に勇気をもらった」と感慨深げに語った。

東京の空に新たなランドマークが誕生した今日、わが国の未来がさらに高く、遠くへと伸びていくことを期待したい。

— RekisyNews 社会面 【1958年】

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