【モスクワ 10月13日】
本日、ソビエト連邦モスクワで開催されていた第4回女子バレーボール世界選手権において、日本代表が全勝での完全優勝を果たし、世界の頂点に立った。この快挙は、日本女子バレー界にとって初の世界選手権制覇であり、国民的な歓喜と誇りをもたらしている。
今回の日本代表は、大阪府の実業団チーム「日紡貝塚」をほぼそのまま母体とした編成で臨み、強豪ソ連をはじめとする各国代表を次々と撃破。計11試合をすべてストレートまたはフルセット勝ちで制し、一度も敗れることなく栄冠を手にした。
決勝ラウンドでの対ソ連戦は最大の山場と見られたが、名将大松博文監督の緻密な指導と、選手たちの献身的なプレーが結実。エース・河西昌枝主将を中心に粘り強く拾い、正確なトスワークからの速攻で相手を翻弄した。
また、日々の過酷なトレーニングと「東洋の魔女」とも称される驚異的なレシーブ力は、現地報道陣にも驚きをもって迎えられている。大会中に日本代表が見せた高い組織力と精神力は、単なる技術を超えた“チームとしての美学”を世界に示すものとなった。
帰国後は凱旋パレードや首相官邸への表敬訪問も予定されており、日本国内では祝賀ムードが高まっている。文部省関係者は、「今回の勝利は女子スポーツの将来にとっても象徴的な出来事だ」と述べ、学校教育におけるバレー指導の強化にも言及した。
この歴史的快挙は、日本スポーツ界全体にとっても大きな追い風となることは間違いない。1964年の東京オリンピックに向け、女子バレーは金メダル候補としての地位を不動のものとした。
— RekisyNews スポーツ面 【1962年】