【アンカラ 10月13日】
本日、トルコ大国民議会は、国家の首都を従来のイスタンブールからアンカラへと正式に遷すことを決議し、採択された法案が即日施行された。これにより、今後の政庁機能はすべてアンカラに集約され、新国家トルコの中枢がアナトリア高原の内陸都市に移されることが決まった。
この遷都は、オスマン帝国の旧体制から完全に脱却し、共和国樹立へと進む意思を明確に示す歴史的な転換点と位置づけられている。議会では、「アンカラは独立戦争の精神を体現する都市であり、新たな国家理念を具現化する場にふさわしい」との声が多数を占めた。
アンカラは、ムスタファ・ケマル将軍率いる国民運動の拠点として、ギリシャ軍との戦いや協商国に対する独立戦争の中心地となってきた。近年、官庁や軍施設も次々と移転し、事実上の臨時首都としての役割を果たしてきたが、本日の決定により正式に国家の中心となる。
一方、千年の歴史を持つ古都イスタンブールの人々には、複雑な思いも広がっている。交易・文化の中心として栄えたボスポラス海峡の都が、政治の舞台から退くことに一抹の寂しさを覚える住民も少なくない。だが、政府は「イスタンブールの文化的・経済的重要性は不変であり、今後も発展を支援する」と説明している。
共和政移行を目前に控えた今、アンカラは新生トルコの象徴として、国家の未来を担う都市としての歩みを本格的に始める。
— RekisyNews 政治面 【1923年】