国連総会で異例の行動──フルシチョフ首相、靴で机を叩き抗議

【ニューヨーク 10月12日】

本日、国連本部で開かれた第15回国連総会の一般討論演説中に、ソビエト連邦のニキータ・フルシチョフ首相が靴で机を激しく叩き、議場が一時騒然となる事態が発生した

問題の場面は、フィリピン代表のロレンソ・スムロン氏が演壇に立ち、ソ連が提出した「植民地主義非難決議案」に対して異議を唱えた場面で起きた。スムロン代表は、ソ連の提案する非難決議は「一方的で政治的意図を含む」と述べ、自国の独立の経緯とアジア諸国の多様な発展を引き合いに出し、慎重な議論を求めた。

この発言に対し、フルシチョフ首相は表情を険しくし、突然席を立ち上がると、自身の靴を手に取り、机を叩いて抗議の意を示した。予期せぬ行動に、議場は一瞬騒然となり、各国代表の間にも動揺が走った。議長団はすぐに静粛を呼びかけ、議事進行を取り戻したものの、冷戦下の国際舞台における緊張の高まりを象徴する一幕となった

フルシチョフ首相は演説後の記者団に対し、「スムロンの発言は新植民地主義を正当化するものだ。われわれはアジア・アフリカの真の独立を支持する」と述べた。

今回の騒動は、米ソを中心とするイデオロギー対立が、国連の場においても激化していることを改めて印象付けた。西側諸国の一部では、ソ連の行動を「国際マナーに反する」と非難する声も上がっている。

国連は今後もこの問題に関する討議を継続する予定だが、各国の立場の隔たりが埋まる気配はなく、冷戦構造の影が改めて世界を覆っている。

— RekisyNews 国際面 【1960年】

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