関東軍、錦州を空爆──満州事変、さらに南へ拡大の様相

【奉天(瀋陽) 10月8日】

満州各地で続く武力衝突は新たな局面を迎えた。 本日未明、日本陸軍関東軍は遼西地方の要衝・錦州に対し、航空機による爆撃を実施した。 これは奉天以南への攻勢としては初の本格的な空爆であり、事変がさらに拡大しつつあることを示唆している。

関東軍の発表によれば、爆撃は「中国軍の攻勢に対する自衛措置」であり、拠点となる軍施設・通信線を狙ったものだとされる。 しかし、現地からの報道によると、市街地にも損害が及んだ可能性があり、民間人の被害が懸念されている。

錦州は、奉天と山海関を結ぶ南満州鉄道沿線に位置する戦略上の要衝であり、現在は中国東北軍の司令官・張学良の勢力下にあるとされる。同軍はこれまで沈黙を保ってきたが、今回の空爆を受けて反撃に出る構えも見せており、今後の展開が危惧される。

国民政府は、今回の爆撃を「明白な主権侵害」として強く非難しており、国際連盟への正式提訴を検討中。 ジュネーブでは連盟理事国の間で緊急会合の開催も取り沙汰されており、この事変が国際的問題へと発展する可能性が高まっている。

一方、日本政府は本件について公式見解を控えているが、関東軍の独断的行動が続く現状に対し、政府と軍部との間に齟齬があるとの観測も根強い。

今回の錦州爆撃は、満州事変の舞台が遼東半島全域に広がりつつあることを決定づける事件として、後世に記録される可能性がある。

— RekisyNews 国際面 【1931年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次