千代の富士、ヴェルサイユで四股披露──日仏文化交流の象徴に

【パリ 10月8日】

大相撲の横綱・千代の富士(本名:秋元貢、31)が、フランス・パリ郊外のヴェルサイユ宮殿にて、四股を披露するという異例の催しが行われた。日本文化の紹介を目的とした「日本文化週間」の一環として実現したもので、現地関係者や招かれたフランス政府関係者らの注目を集めた。

ヴェルサイユ宮殿の中庭に設営された特設の土俵にて、千代の富士は堂々たる四股を披露。しなやかかつ鋭い動きに、観客からは大きな拍手が湧き起こった。雅楽の演奏が流れる中での所作は、まさに「静と動」の融合と称され、多くのメディアがその模様を報じている。

千代の富士は1981年に横綱へ昇進し、その後も連続優勝を重ねるなど、現在の大相撲界において圧倒的な存在感を放っている。鍛え抜かれた筋肉美とスピード、技の切れは「ウルフ」の異名で親しまれ、人気・実力ともに頂点に立つ力士として国内外で高い評価を受けている。

今回の渡仏は、日本政府およびフランス政府による文化交流強化策の一環であり、能や茶道と並んで日本の伝統文化の代表として相撲が取り上げられた形だ。千代の富士は「こうした場で日本の相撲を見てもらえるのは誇り。フランスの皆さんが興味を持ってくれて嬉しい」と語った。

ヴェルサイユ宮殿という歴史的な舞台で、武道としての相撲が称賛を浴びた今回の披露は、今後の文化外交の新たな一歩となりそうだ。

— RekisyNews 文化面 【1986年】

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