文部省、教育勅語の奉読を廃止へ──戦後教育の転換点に

教育ニ関スル勅語

【東京 10月8日】

本日、文部省は全国の学校に対し、「教育勅語」の奉読およびこれに付随する儀式を今後中止する旨の通告を発した。これは、明治23年(1890年)に発布されて以来、半世紀以上にわたり教育現場で道徳指導の中心とされてきた勅語の位置づけに、大きな転機が訪れたことを意味している。

戦後、日本の教育制度は連合国軍総司令部(GHQ)の主導のもと大きな見直しが進められており、個人の尊重と民主主義に基づく新たな教育方針が模索されている。今回の通告は、その一環として、忠君愛国を強調する教育勅語の精神が新時代の価値観と相容れないとする判断によるものとみられる。

文部省の内部文書によれば、奉読の中止は単なる儀礼の廃止ではなく、教育現場における思想統制の解除と、教師・生徒の自由な思考を尊重する姿勢の表明でもあるという。既に一部の学校では、終戦以降、奉読を事実上取りやめていたが、今回の通達によって全国一律の措置となる見通しだ。

教育現場では、教師の間に歓迎の声が広がる一方、「急激な変化に戸惑う生徒や保護者への説明が必要」との意見もあり、現場の対応に一定の混乱も予想される。

一方、文部省は、今後の道徳教育に関しては、新たに策定中の「教育基本法」および「新学習指導要領」に基づいて再構築する方針を明らかにしており、近くその具体案が示されるものと見られる。

戦後の教育改革が本格化する中で、教育勅語の奉読廃止は、象徴的な一歩として歴史に刻まれることになるだろう。

— RekisyNews 教育面 【1946年】

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