【カイロ/エルサレム 10月6日】
エジプトおよびシリア両国は本日、イスラエルに対し大規模な軍事攻撃を開始し、中東は再び全面戦争に突入した。戦端が開かれたのはユダヤ教の祭日ヨム・キプール(贖罪の日)にあたる日で、イスラエル軍は一時的に準備の遅れを強いられた模様だ。
エジプト軍はスエズ運河を渡り、シナイ半島に侵攻。シリア軍も同時にゴラン高原に突入し、同時多発的な攻勢による挟撃作戦が展開された。アラブ側は「1967年の第三次中東戦争で失った領土の奪還」が目的と声明を出している。
イスラエル政府はただちに非常事態を宣言し、予備役を大量動員。アメリカ合衆国をはじめとする各国は、事態の急変に対して警戒を強めており、国際社会は早急な停戦呼びかけを模索している。
今回の戦争は、中東における地政学的緊張の再燃だけでなく、原油供給への深刻な影響も懸念されている。湾岸諸国が西側支援国に対する報復措置として石油輸出制限に踏み切る可能性も浮上し、経済への波及が避けられない情勢となってきた。
中東和平の道は遠く、歴史的怨念が再び火を噴いた形だ。“ヨム・キプール戦争”とも呼ばれるこの衝突が、世界経済に与える影響も注視されている。
— RekisyNews 国際面 【1973年】