性転換手術で初の摘発 優生保護法違反容疑で医師を聴取へ

【東京・1965年】

日本で初めて、性転換手術を受けた人物の存在が明るみに出た事件が波紋を広げている。関係筋によれば、都内の医師が若年男性に対して生殖器を摘出する手術を実施し、優生保護法違反の疑いで東京地検が事情聴取に乗り出したという。

この男性は、俗に「ブルーボーイ」と呼ばれる職業に就いていたとされ、身体と性自認の不一致に悩み、女性としての生活を望んでいた。報道によれば、本人の強い希望により医師が手術に応じたとみられるが、当時の優生保護法では「医師の判断や本人の同意があっても、生殖不能にする手術は厳しく制限されている」。

司法関係者の間では、「手術は患者の福祉を考慮した医療行為か、それとも違法な人体改造か」という議論が沸き起こっている。事実関係が整理されれば、性別適合手術をめぐる今後の法整備にも影響を与える前例となる可能性がある。

この事件は、当事者の境遇や医学の倫理、法制度の未整備が複雑に絡み合い、社会に大きな問いを投げかけている。地検は引き続き、手術に関与した医師や関係者から事情を聴取し、立件の可否を慎重に判断する方針だ。

— RekisyNews 社会面 【1965年】

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