【ワシントン 10月5日】
ハリー・S・トルーマン大統領が本日、ホワイトハウスからテレビ放送による初の演説を実施した。
これはアメリカ大統領として史上初の試みであり、政権と国民との新たな“距離の縮まり”を象徴する出来事となった。
演説は、連邦議会に提出した「価格統制とインフレ抑制に関する緊急経済対策法案」への国民の理解と支持を求めるもの。
第二次世界大戦後の物価上昇と生活不安が広がるなか、トルーマン大統領は「今こそ協調と行動が必要だ」と訴え、価格統制の早期実施を呼びかけた。
放送はNBCの協力のもと、東部標準時午後10時から全国へ向けて中継。視聴可能な家庭はまだ限られているものの、“映像で大統領を観る”という体験は多くの国民に強い印象を残した。
関係者によれば、今回の放送は「今後の政治コミュニケーションのあり方を一変させる出来事」として位置づけられるという。
テレビという新しいメディアを活用し、ホワイトハウスから直接国民へ語りかけるスタイルは、戦後の民主主義国家としてのアメリカの姿を象徴する一歩とも言えよう。
— RekisyNews 米州面 【1947年】