【ヴェルサイユ 10月5日】
本日早朝、数千人規模のパリの民衆――主に市場の女性たち――が、パンの高騰と飢餓への怒りを胸に、ヴェルサイユ宮殿へと武装して行進した。
約20キロに及ぶ過酷な道のりを経て到着した一団は、国王ルイ16世と王妃マリー・アントワネットに対し、食糧供給の改善と国王のパリ移転を求めて直訴。
市民たちは「パンを!王はパリへ!」の声を上げながら、議会と王宮を包囲。一部は銃や槍、農具を携え、急激に高まる民衆の圧力に、国王側も緊張を隠せない様子を見せた。
午後遅く、国王はついに折れ、明日6日、王妃および王太子とともにパリのチュイルリー宮殿へ移ることを決定。
この突然の決定に、王党派からは動揺の声が上がる一方で、市民の間には「革命は前進した」との期待も膨らんでいる。
今回の行進には、全国議会(憲法制定国民議会)の動向に業を煮やしたパリ市民の不満も重なっており、王権の権威が大きく揺らいだことは明白。
議会も国王と共にパリへ移転する見込みで、首都が実質的な政治の中心となる歴史的転機を迎えた。
— RekisyNews 欧州面 【1789年】