【コンスタンティノープル 10月4日】
本日、オスマン帝国政府はロシア帝国に対して正式に宣戦を布告した。これにより、かねてより対立が深まっていた両国の緊張関係は、ついに武力衝突の局面へと突入したことになる。これが、欧州列強を巻き込む大規模な戦争へと発展する可能性も否定できない。
発端は、ロシアが「正教徒の保護」を口実にオスマン領への影響力を強めようとしたことにある。今年7月には、ロシア軍がモルダヴィアとワラキア(現在のルーマニア地方)を占領し、オスマン帝国に対する露骨な圧力を強行した。
これに対し、オスマン帝国は外交交渉を重ねつつも、ロシアの撤兵が見込めないと判断。ついに本日、皇帝アブデュルメジト1世の名の下、ロシア帝国への開戦を宣言したものである。
宣戦布告に先立ち、黒海ではすでにオスマン艦隊が出撃態勢に入ったとの情報もあり、早ければ数日中にも戦闘が始まる可能性がある。
また、英仏両国はこの紛争に深い関心を寄せており、バルカン半島の均衡に大きな影響を及ぼすものとして欧州全体が固唾を呑んで見守る事態となっている。
ロシアとオスマン、二つの帝国の激突は、単なる領土問題を超え、宗教、外交、軍事が絡み合う一大局面を迎えている。
今後の列強の動向次第では、この戦争がヨーロッパ全土を巻き込む「大戦」となる可能性もある。
— RekisyNews 国際面 【1853年】