【フランクフルト 10月4日】
本日、フランクフルトにて神聖ローマ帝国の戴冠式が執り行われ、ロートリンゲン公フランツ・シュテファンが「フランツ1世」として正式に皇帝に即位した。先帝カール7世の死去からおよそ半年、帝位の空白を経て、ついに新たな皇帝が帝国を治めることとなる。
フランツ1世は、オーストリア大公マリア・テレジアの配偶者であり、その縁をもって帝国諸侯の支持を得て選出された。女性に帝位を継がせることができない慣例のもと、皇女の影響力を背景に夫フランツが帝位を担う形となった。
今回の選出に至るまでには、帝国諸侯間の対立と長引く武力衝突が続き、諸国の間では激しい権益争いが繰り広げられてきた。中でも、ボヘミア継承を巡る係争やバイエルン勢力の巻き返しなどが複雑に絡み合い、皇帝選出は一筋縄では進まなかった。
フランクフルト大聖堂にて厳かに行われた戴冠式には、選帝侯をはじめとする多くの貴族や外交団が列席。新皇帝は神と帝国に忠誠を誓い、その責務の重さを全身で受け止める姿を見せた。
今後は、ウィーンの宮廷においてマリア・テレジアとともに帝国の命運を担っていくこととなるが、内外の不安定な情勢を前に、その政治的手腕が注目されている。皇帝としての実権をいかに確保し、諸侯との均衡を保っていくかが、大きな課題となるだろう。
— RekisyNews 欧州面 【1745年】