【東京 10月3日】
日本の武道精神と伝統文化の象徴として位置づけられる「日本武道館」が、本日千代田区北の丸公園にて開館した。来る東京オリンピックで柔道競技の会場として使用される予定で、国際舞台での日本武道の発信拠点となることが期待されている。
皇居に隣接するこの巨大な八角形の建物は、屋根の形状に富士山を模した美しい曲線を取り入れ、日本建築の美と近代建築技術を融合させた独特の姿を見せている。収容人数は1万5千人を超え、柔道はもちろん、剣道・空手道・弓道など各種武道大会の開催が予定されている。
開館式典には政財界・武道関係者をはじめ多数の来賓が出席し、厳かな空気の中で日本古来の武道演武が披露された。会場は、凛とした静寂と熱気の入り混じる、まさに“武の殿堂”の名にふさわしい開幕を迎えた。
東京五輪を目前に控え、世界に誇る武道の精神と技を体現する場が整った。これからここ日本武道館を舞台に、数々の名勝負と歴史が刻まれていくに違いない。
— RekisyNews 社会面 【1964年】