【ニシュ 10月3日】
長きにわたって東欧を揺るがしていたロシア帝国とオスマン帝国の戦火が、ついに終息を迎えた。本日、両国はセルビア中部の都市ニシュにて、正式な講和条約を締結し、1735年より続いた戦争に終止符を打った。
この「ニシュ条約」により、ロシアは黒海北岸のアゾフ要塞を獲得したものの、軍備の配備は禁止されるなど、限定的な領土拡大にとどまった。一方で、オスマン帝国はヨーロッパ側の領土を保持し、バルカン半島での影響力を依然として保ったまま講和に至った形だ。
和平交渉は、ウィーン条約によって一度は姿勢を硬化させていたオーストリアの撤退により急速に進展したとみられ、欧州全体が新たな均衡状態を模索する中、二大帝国による現実的妥協が成された。
ロシア宮廷筋は、「我が国の南方進出の足がかりは確実に得られた」とし、黒海への展望をにじませる。一方、オスマン側は「帝国の威信を保ちつつ、聖戦を終結させた」と主張し、領土防衛の成果を強調している。
条約調印の地ニシュは、かつて中世バルカンの要衝として栄えた都市。今回の歴史的和解により、再び国際的な注目を浴びることとなった。
火薬の煙がようやく晴れたバルカンの空に、平和の兆しが差し込み始めている。
— RekisyNews 国際面 【1739年】