メキシコ首都で流血の衝突、学生ら多数犠牲に

【メキシコシティー 10月2日】

本日夕刻、メキシコシティー中心部のラス・トレス・クルトゥラレス広場(三文化広場)にて、政府に抗議する学生を中心とした市民集会が行われていた最中、軍と警察が武装して突入し、激しい銃撃戦が発生。広場は一時騒然となり、死傷者多数という深刻な事態に発展した。

目撃者の証言によると、午後6時ごろ、集会が平和的に行われていたところに軍用車両と装備した兵士が接近。警告の後、催涙弾が投げ込まれ、続いて実弾による掃射が始まったという。混乱の中、多くの市民や学生が逃げ惑い、地面に倒れ込む者の姿も見られた。

当局は事件直後、「治安維持のための措置だった」と説明し、武器を持った扇動者の存在を示唆したが、現場にいた者の多くは、学生たちが非武装であったと証言している。犠牲者数については、当局は数十名としている一方で、独立系報道では数百人規模の死傷が出ている可能性も指摘されており、正確な状況は依然不明のままである。

メキシコは10日後に第19回夏季オリンピックの開幕を控えており、国際社会からの注目も高まる中での流血事件は、大きな波紋を広げている。広場は現在、軍によって封鎖され、メディア関係者の立ち入りも厳しく制限されている。

自由と民主を求めた若者たちの叫びが、銃声にかき消されたこの日。メキシコの空は重く沈んだ。

— RekisyNews 国際面 【1968年】

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