【南シナ海 10月1日】
本日午前7時15分頃、南シナ海を航行中の輸送船「りすぼん丸」が、アメリカ海軍の潜水艦グルーパー(USS Grouper)による魚雷攻撃を受け、大破。 翌10月2日、ついに沈没した。船には約1,800名のイギリス人捕虜が乗船しており、多数が海に投げ出され、混乱のなかで脱走や溺死する者も続出した。
りすぼん丸は、捕虜収容所から内地へ移送する途中であり、日本軍の兵士とイギリス軍捕虜を同乗させたまま輸送任務にあたっていた。 攻撃を受けた際、船内に捕虜収容の旨を示す標識や国際的な識別表示はなかったとされ、米軍側は「正規の軍事目標と認識して雷撃を行った」としている。
魚雷は船体に複数命中し、乗員の多くは即座に退艦したが、船倉に収容されていた捕虜は一時閉じ込められ、逃げ場を失う悲劇が発生。翌日の沈没に際しては、一部の捕虜が海に飛び込んで脱出を図るも、その多くが溺死したとみられる。
日本側の発表によれば、救助活動が行われたものの、厳重な監視下での輸送であったため即応できなかったことが被害拡大の一因とされている。
この事件は、捕虜輸送における人道的配慮の欠如が招いた国際的な悲劇として、今後問題視される可能性が高い。国際赤十字や連合国側が詳細な調査を要求することも予想され、戦時下の捕虜保護の在り方に再び注目が集まる。
— RekisyNews 国際面 【1942年】