【東京 10月1日】
音楽の楽しみ方に革命が訪れた。本日、ソニー株式会社は、世界に先駆けてコンパクトディスク(CD)プレーヤー「CDP-101」の一般販売を開始した。価格は16万8千円で、家庭用としてはやや高額ながら、画期的な音質と利便性を備えた新時代の音楽再生機器として、早くも業界の注目を集めている。
CDは、レーザーで読み取る直径12センチの光ディスクで、従来のアナログレコードやカセットテープとは異なり、デジタル信号によって音を記録・再生する。針飛びやテープの劣化といった物理的なノイズが発生せず、音質の劣化がほとんどないのが最大の特徴だ。
プレーヤーの発売に合わせ、CBSソニーからはクラシックやポップスを中心に50タイトルのCDソフトも同時にリリース。カラヤン指揮によるベートーヴェンの交響曲や、ビリー・ジョエル、松田聖子ら人気アーティストのアルバムも含まれており、幅広い層に対応するラインナップとなっている。
今回のCDP-101は、ソニーとオランダのフィリップス社が共同開発したCD規格「Red Book」に基づいて設計されており、今後は国際標準として各社にライセンス提供される予定だ。既にパイオニアやデンオンなどもCDプレーヤーの開発を進めており、来年以降、競争が激化するとの見方もある。
今後、録音媒体がCDにシフトすれば、家庭だけでなく、放送業界やカーオーディオ分野にも大きな影響を及ぼすとみられる。アナログからデジタルへ──音楽メディアの世代交代が、ついに幕を開けた。
— RekisyNews 科学技術面 【1982年】
アイキャッチ画像 Alessandro Nassiri – レオナルド・ダビンチ科学技術国立博物館, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=47890489による