【東京 10月1日】
本日、日本銀行は新たに五千円紙幣の発行を開始した。 これは我が国における高額紙幣の新たな一歩であり、千円札・千円銀貨に次ぐ次世代通貨として、今後の経済活動における重要な役割を担うことが期待されている。
新五千円札の肖像には、飛鳥時代の政治家であり日本の近代国家形成に多大な影響を及ぼした「聖徳太子（厩戸王）」が採用された。太子は十七条憲法の制定や遣隋使の派遣など、古代日本の国づくりにおいて中心的な役割を果たした人物であり、その高潔な思想と外交手腕は、現代日本においても深い尊敬を集めている。
今回の発行に際し、日本銀行の担当者は「戦後の経済復興が進む中、取引規模の拡大に対応する新たな通貨として、信頼性と格式を備えた紙幣を国民に届けたい」と語っており、聖徳太子の起用はその理念に沿ったものであることを強調した。
五千円札は、縦76ミリ・横156ミリ、紫色を基調とした落ち着いた色彩に、透かしや特殊インクを用いた偽造防止技術が取り入れられており、印刷技術の粋を集めた仕上がりとなっている。
紙幣の刷新は、単なる通貨価値の移行にとどまらず、日本の歴史や精神を象徴するメッセージでもある。 聖徳太子を描いたこの新札が、戦後日本の経済と国民の誇りを支える存在となることが期待されている。
— RekisyNews 経済面 【1957年】
