【東京 10月1日】
本日、日本全国において初めての本格的な国勢調査が一斉に実施された。これは、帝国議会で昨年成立した「国勢調査法」に基づくもので、近代的な統計制度に基づいた全国民規模の人口調査として、日本の歴史において画期的な試みである。
午前中より、あらかじめ訓練を受けた調査員らが全国の町村を訪問し、各戸を回って氏名・年齢・性別・職業・国籍・家族構成などの情報を用紙に記録。調査対象は内地全域の国民及び居住外国人で、日本全国を精密に把握するための前代未聞の国家的事業として展開されている。
政府は本調査の目的を「行政施策の基礎資料を整備することで、国民の福祉向上と国家の発展を図ること」としており、今後の議会制政治や徴兵制度、税制改革、産業振興など広範な政策形成に寄与するものと期待されている。
総理大臣原敬は本日午前、官邸で記者団に対し「近代国家として国勢を正確に把握することは不可欠であり、本調査はその礎である」と語った。
一方、各地では「調査に答える義務があるのか」「情報は漏れないのか」といった不安の声も聞かれたが、内務省は「調査内容は厳重に保管され、個人情報は漏洩しない」と繰り返し説明している。
今回の調査結果は年内に集計を終える予定で、明年には詳細な人口統計が公表される見込み。日本は本調査を通じて、統計行政の新時代に踏み出したと言えるだろう。
— RekisyNews 社会面 【1920年】