【ジャカルタ 9月30日】
本日未明、インドネシア首都ジャカルタにおいて、国家軍高官が何者かによって次々と拉致・殺害されるという重大事件が発生し、事態は急速に緊張を増している。現在までに陸軍幹部7名が死亡したことが確認されており、軍事クーデターの様相を呈している。
事件は本日午前2時頃、複数の部隊が将軍らの私邸を襲撃し、拉致・殺害したことに端を発する。これらの行動を起こしたとされる勢力は「9月30日運動(Gerakan 30 September:G30S)」と名乗っており、「スカルノ大統領の命を守るため」との声明を発表している。
午前中には、G30Sが国家権力を一時的に掌握したとの宣言を行ったが、スハルト少将が率いる陸軍戦略予備司令部(KOSTRAD)がただちに反応し、放送局や主要施設の奪還に着手。事態は流動的ながらも、現在はスハルト派が優勢と見られている。
スカルノ大統領の所在は明らかにされておらず、軍上層部の一部には共産党との関与を疑う声も上がっている。インドネシア共産党(PKI)は事件への関与を否定しているが、今後の展開によっては大規模な国内対立や弾圧につながる可能性もある。
一般市民の間には不安が広がっており、ジャカルタ市内の交通機関や通信網には一時混乱が生じた。政府発表によると、治安部隊が要所を確保し、市民の安全は確保されつつあるという。
現地の外交筋は、「政権内部の権力闘争が表面化した可能性が高く、今後の政局が大きく動く可能性がある」と見ている。
今後の軍と政府の対応、そしてスカルノ大統領の出方が国の命運を左右することとなりそうだ。
— RekisyNews 国際面 【1965年】