【東京 9月30日】
本日、朝日新聞朝刊の4コマ漫画『フジ三太郎』が最終回を迎えた。連載開始は1965年4月1日。以降、実に25年半にわたり休載なしで掲載され続けた長寿連載は、平成の世にもなお愛され続けていたが、作者のサトウサンペイ氏(本名:佐藤晴夫、63)の引退意向により、今日の紙面をもって最終回となった。
『フジ三太郎』は、新聞社に勤めるサラリーマン・フジ三太郎を中心に、妻や同僚、上司らとの日常をユーモアと風刺を交えて描いてきた。政治や社会問題を巧みに取り入れながらも、あくまで読者の日常に寄り添った作風で、戦後サラリーマン像の代弁者として、多くの共感を集めてきた。
最終回では、三太郎が「さて、明日からどうしたものか」と独りごちる一コマで締めくくられ、読者への別れと余韻を残す構成となっている。都内の駅売店では、朝刊を手にした読者が足を止めて最後の一話を読む姿も見られた。
サトウ氏は「長い間ありがとうございました。描きたいことはすべて描き切った気がします」とコメントを寄せており、今後は静かに筆を置く意向を明かした。
昭和から平成にかけて、社会の変化と共に歩んできた『フジ三太郎』の終了は、一つの時代の終わりを象徴する出来事となった。
— RekisyNews 文化面 【1991年】