【東京 9月30日】
本日、東京都・台東体育館にて開催された日本プロレス興行において、二人の若き新人が初陣を飾り、場内を大いに沸かせた。デビューを果たしたのは、身長203センチという巨体を誇る馬場正平(22)と、俊敏な動きで注目を集めた猪木寛至(17)の両選手。会場には平日ながら多くのファンが詰めかけ、新人の門出を見届けた。
馬場は元巨人軍の投手という異色の経歴を持ち、プロ野球界から転身。圧倒的な体格と身体能力に、会場はざわめきを見せた。一方の猪木は、細身ながら鋭い動きと果敢な攻めで観客の視線を一身に集めた。いずれも力道山門下として修行を積んできた若者であり、その素質の片鱗を早くも垣間見せた形だ。
試合はそれぞれベテラン選手との対戦であったが、敗北を恐れず立ち向かう姿勢は、ファンのみならず関係者からも高く評価された。特に馬場の一挙手一投足には「新しい時代の幕開けを感じた」と語る観客も多かった。
会場では、力道山自らが二人を紹介し、「これからの日本プロレス界を担う逸材である」と太鼓判を押した。ファンからは温かい拍手が送られ、新星たちの門出を祝福する熱気に包まれた。
大男と俊英──まったく異なる個性を持つ二人の若者が、同じ日にプロレス人生の第一歩を踏み出した。この一日が、やがて日本プロレス史に刻まれることになるかもしれない。
— RekisyNews スポーツ面 【1960年】