【ニューヨーク 9月30日】
本日、メジャーリーグ・ワールドシリーズの初戦が、史上初めてテレビ中継という形で全米の家庭に届けられた。ニューヨーク・ヤンキースとブルックリン・ドジャースの対戦という“ビッグアップル”の因縁カードは、野球ファンの興奮とともに、テレビという新たなメディアの幕開けをも象徴する歴史的瞬間となった。
中継はNBC、CBS、デュモンの各ネットワークによって東海岸の限られた地域に向けて放送されたが、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンD.C.など主要都市では数十万人がこの革新的な映像に釘付けとなった。放送は白黒映像、実況付き。球場の臨場感こそ完全再現とまではいかないものの、手元で大舞台のプレーを目にできるという体験は、多くの視聴者を驚かせた。
試合はヤンキー・スタジアムで開催され、ヤンキースのジョー・ディマジオらが出場。初回からドジャースが勢いを見せるも、試合は接戦となり、視聴者にとっても手に汗握る展開となった。中継に使われたカメラは球場内に数台設置され、実況・解説も電波に乗せられたことで、まるで球場の観客の一員となったかのような臨場感が演出された。
テレビの普及はまだ限定的ながら、この放送を契機に「スポーツ観戦の新時代が始まる」との声も高まっている。放送局関係者は「将来的には、全米のあらゆる家庭に野球を届けたい」と語った。
アメリカ国民と野球、そしてテレビが初めて三位一体となった本日のワールドシリーズ。“電波のホームラン”は、娯楽の未来を大きく切り拓くものとなった。
— RekisyNews 社会面 【1947年】