電波が捉えた初のタックル──NBC、アメフト中継を初のテレビ試験放送

【ニューヨーク 9月30日】

本日午後、全米放送網NBCは、アメリカンフットボールの公式戦をテレビで初めて中継放送するという画期的な試みを実施した。舞台となったのはニューヨーク市内にあるベイカーフィールドで、フォーダム大学ウェイランド大学の試合が、特設カメラ1台によって撮影され、NBC実験局「WNBT」(チャンネル1)を通じて限定的な視聴者に届けられた。

放送は午後2時半過ぎから開始され、NBC技術陣によると、試合の模様は白黒映像でおよそ1時間半にわたって伝送されたという。実況音声も同時に送信され、初の“実況つきスポーツ中継”として技術者や報道関係者の間で大きな注目を集めた。

現在、一般家庭におけるテレビ受信機の普及はまだ限られており、ニューヨーク市周辺でわずか数百台程度とみられている。しかし、NBC側は「今後のスポーツ中継に向けた礎として重要な一歩」としており、技術実験の域を超えた放送形式の実用性が浮き彫りとなった。

会場で試合を観戦していた一部の関係者によると、放送カメラはフィールド中央の一角から固定撮影され、タッチダウンの瞬間などでは「観客のように歓声を上げてしまいそうだった」との声も。

今回の試みを受け、テレビ放送を新たな娯楽媒体として捉える動きが広告業界や新聞各社にも広がりつつある。ラジオ全盛の今、電波の未来がどのように進化するか、大いに注目される。

— RekisyNews 社会面 【1939年】

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