【京都・祇園 9月30日】
本日、アメリカの実業家で富豪として知られるジョージ・モルガン氏(推定40歳)が、京都・祇園甲部の芸妓、加藤雪(かとう・ゆき、20歳)を正式に身請けしたことが複数の関係者への取材で明らかとなった。国際的な資産家による花街からの身請けは極めて異例であり、祇園界隈に驚きと関心が広がっている。
加藤雪は、若くして高い芸事の素養と品格を備えた評判の芸妓で、三味線と茶道に長け、多くの贔屓筋からの信頼を得ていた人物。 モルガン氏は今春から日本各地を訪問するなかで京都を訪れ、雪との出会いがあったとされる。関係者によれば、数回の茶屋通いの末に身請けの話が進み、数千円に及ぶ金額が祇園の置屋に支払われたという。
モルガン氏の来歴については、東部合衆国での鉱業や鉄道事業で莫大な財を築いた人物とされており、欧州でも複数の資産を保有する国際的な紳士として知られている。来日後は日本文化、とくに古美術と茶道への関心を深めていたという。
祇園甲部の関係者は、「身請けそのものは珍しい話ではないが、異国の紳士によるものは前代未聞。雪が海を渡ることになるのか、日本にとどまるのかはまだわからない。 ただ、花街としては彼女の前途を見守りたい」と語った。
一方で、外国人による伝統的な花街文化への介入に対して、一部からは「軽々しく身請けがなされて良いのか」との声もあがっており、賛否が分かれている。 雪本人のコメントは得られていないが、近しい茶屋関係者によれば「身の振り方については慎重に考えているようだ」という。
— RekisyNews 社会面 【1903年】