【東京 9月27日】
日本の大手電機メーカー・ソニー株式会社は本日、アメリカの映画製作・配給大手 コロンビア ピクチャーズ・エンタテインメント(CPE) の買収手続きを正式に完了したと発表した。総額は推定 34億ドル(約4900億円) に上り、日本企業によるハリウッド映画業界への本格的な進出として大きな注目を集めている。
今回の買収により、CPEに含まれる映画部門の 「コロンビア ピクチャーズ」 や傘下レーベルの 「トライスター・ピクチャーズ」、さらにテレビ制作会社などがすべてソニー傘下に入ることとなった。CPEは米国映画界でも有数の老舗スタジオであり、近年はやや業績が低迷していたが、ソニーの資本注入により再建と国際展開の加速が期待されている。
ソニーの大賀典雄社長は本日の記者会見で、「エンタテインメントとエレクトロニクスの融合は、次世代のメディア戦略の中核となる。我々はコンテンツからハードウェアまでを包括するグローバル企業を目指す」と述べた。
一方、アメリカ国内では、日本企業による象徴的なハリウッドスタジオの買収に対し、一部から文化的懸念や保護主義的な声も上がっている。ただし、CPE経営陣は「クリエイティブ面での自主性は維持される」として、現場の混乱を抑える方針を示している。
この買収により、ソニーは映画・音楽・ゲームなど幅広い分野を包括する「総合メディア企業」への道をさらに歩み出すこととなった。ハリウッドがその舞台となることは、世界のメディア構造にも少なからぬ影響を与えるだろう。
— RekisyNews 経済面 【1989年】