【パリ 9月27日】
本日、フランスの若き言語学者ジャン=フランソワ・シャンポリオン(31)が、古代エジプトの聖刻文字「ヒエログリフ」の解読に成功したと発表し、学界に静かな注目が集まっている。
この発表は、フランス学士院に宛てた「ダシエへの書簡」の形で行われたもので、シャンポリオンは長年謎とされてきたヒエログリフが、象徴的な図像だけでなく、音を表す文字としても機能していたことを論じた。中でも、ギリシア語・デモティック文字・ヒエログリフの三言語で書かれた「ロゼッタ・ストーン」の分析を通じて、王名を囲む「カルトゥーシュ」に着目した点が評価されている。
とはいえ、学界全体がすぐにこの理論を熱狂的に支持したわけではない。特に、同様の研究に取り組んできたイギリスの学者トマス・ヤングとの間で、先行権をめぐる対立も表面化しており、今回の発表がどこまで実証性を備えているか、今後の詳細な検証が注目される。
パリでは研究者の一部がこの理論を「扉を開く鍵」として期待する一方で、慎重な評価を求める声も根強い。実際、ヒエログリフが完全に読解可能となるには、さらなる碑文や文書の比較検討が必要とされるだろう。
長きにわたり神秘の帳に包まれていた古代エジプト文明。その言葉が蘇る日は近いのか。今後の追試と研究の進展が待たれる。
— RekisyNews 文化面 【1822年】