【ニューポート(米ロードアイランド州)9月26日】
世界最古の国際ヨットレースアメリカスカップで、歴史的快挙が達成された。挑戦者として名乗りを上げたオーストラリアの「オーストラリアII」が、米国防衛艇「リバティー」を破り、1851年以来132年間保持されてきたアメリカの連勝記録がついに止まった。
運命を分けたのはこの日行われた第7レース。レース序盤はアメリカ艇がリードする展開だったが、中盤以降、風を読み切ったオーストラリア艇が逆転。終盤のスピンネーカーでの走りも冴え、41秒差でフィニッシュ。シリーズ成績は4勝3敗とし、歴史を塗り替えた。
この勝利を率いたのはスキッパーのジョン・バートランド(John Bertrand)氏。レース後には「これはすべてのオーストラリア国民の勝利だ」と喜びを語り、母国は歓喜に包まれた。なお、艇の特徴であるウイング・キール(翼型キール)は今回の勝因の一つとされ、今後のヨット設計に大きな影響を与えると見られている。
敗れたアメリカ艇「リバティー」のスキッパーデニス・コナー氏も「彼らは偉大な挑戦者だった」と述べ、長き王者としての威厳を保った。
これにより、次回大会の開催地はオーストラリアへと移る。アメリカスカップの国際化は新たな時代へと突入した。
— RekisyNews スポーツ面 【1983年】