【シカゴ 9月26日】
アメリカ大統領選挙史上初となるテレビ討論が本日夜、CBSスタジオより全米に向けて生放送された。登壇したのは民主党候補のジョン・F・ケネディ上院議員(43)と、共和党候補で現職副大統領のリチャード・ニクソン氏(47)。およそ7千万人が視聴する中、両者は外交、経済、冷戦問題などについて熱い議論を交わした。
今回の討論は、かねてより注目されていた初の「映像付き」政策論争であり、候補者の容姿や表情、視線、話し方までもが評価対象となった。内容以上に「見た目」や「印象」が影響を与えた点で、テレビという新媒体の力が浮き彫りになった形だ。
ケネディ候補は、濃紺のスーツに身を包み、明瞭な発声と落ち着いた語り口で自信をのぞかせた。一方のニクソン候補は、前月の膝の手術からの回復途中であり、顔色が悪く、汗ばむ姿も目立った。視聴者の多くは、ケネディに「より大統領らしさ」を感じたとする声が報道各社の速報で相次いでいる。
しかし、ラジオのみで討論を聴いた一部の聴取者は「ニクソンの方が論理的だった」と感じたという。これにより「テレビ時代の政治戦略」の重要性が一層高まるとの見方が広がっている。
大統領選は11月に投開票を迎える。ケネディ陣営は討論後の手応えを強調し、ニクソン陣営は次回以降の討論で巻き返しを狙う構え。全4回予定されるこのテレビ討論が選挙戦に与える影響は極めて大きいと見られている。
— RekisyNews 国際面 【1960年】