【ローマ 紀元前9月26日】
共和政ローマの執政官ユリウス・カエサルは本日、ローマ市内のフォルム・ユリウムにおいて、新たに建立した「ウェヌス・ゲネトリクス神殿」の奉献式を執り行った。神殿は、彼が神話上の祖先と仰ぐ女神ウェヌス(ギリシャ神話のアフロディテに相当)を祀るもので、内戦中のファルサルスの戦い(紀元前48年)において誓った奉納の約束を果たした形となる。
神殿が建てられたのは、カエサルが計画した新たな公共広場「フォルム・ユリウム」の北端で、今回の完成と奉献は、この広場の機能と象徴性をより一層高めるものとなった。神殿の柱廊や彫像、そしてウェヌス像には贅を尽くした装飾が施され、式典には多くの元老院議員や市民が参列したという。
カエサルはかねてより、自身の家系であるユリウス氏族がウェヌスの血を引くと主張しており、今回の奉献は宗教的意味合いに加え、政治的なメッセージも強く込められている。今後、神殿は女神への礼拝のみならず、公共集会や政治儀礼の場としても活用される見込みだ。
なお、神殿の完成はカエサルの大規模な都市再整備計画の一環でもあり、フォルム・ロマヌムの拡張と共に、彼の支配の正当性と永続性を強く印象づける政治的布石とも見られている。
— RekisyNews ローマ面 【紀元前46年】