沢村栄治、歴史的一戦で偉業達成──日本プロ野球初のノーヒットノーラン

【東京 9月25日】

本日、後楽園球場で行われた東京巨人軍と大阪タイガースの試合で、巨人軍の若き右腕、沢村栄治投手(19歳)が、日本職業野球史上初となるノーヒットノーランの快挙を成し遂げた。この記念すべき試合は秋季リーグ戦の一戦として注目されていたが、沢村の圧巻の投球が全てを塗り替えた。

沢村は序盤から直球と変化球を自在に操り、タイガース打線を全く寄せつけず、被安打ゼロ、四球1、奪三振11という完璧に近い内容で9回を投げ切った。試合は1対0で巨人軍が勝利し、投打にわたる若きエースの活躍が決定的な差となった。

スタンドに詰めかけたおよそ1万人の観客からは、試合終了と同時に割れんばかりの拍手が沸き起こり、沢村の名を讃える声が後楽園を包んだ。球団関係者によれば、「日本野球草創期に現れた天才投手」として、今後の日本球界を背負う存在になることが期待されている。

沢村は三重県出身で、旧制海草中学校(和歌山県)を卒業後、プロ球団巨人軍に入団。1934年の日米野球での登板で頭角を現し、今季から公式戦に登板している。入団当初からその豪速球と制球力には注目が集まっていたが、今回の快挙で全国的な名声を不動のものとした。

試合後、沢村は報道陣に対し「ただひたすら捕手のミットを目がけて投げただけ。守ってくれた仲間に感謝しています」と、謙虚に語った。

このノーヒットノーランは、日本プロ野球における金字塔として、後世に語り継がれることだろう。

— RekisyNews スポーツ面 【1936年】

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