【シアトル 9月24日】
アメリカ・ワシントン州シアトル発のロックバンド「ニルヴァーナ」が本日、セカンド・アルバム『ネヴァーマインド(Nevermind)』を全米で正式リリースした。インディーズ時代から注目されていた同バンドが、大手レーベル「DGCレコード」から初めて放った一作で、早くも音楽シーンに波紋を広げている。
冒頭曲「Smells Like Teen Spirit」は、重厚なギターリフとカート・コバーンの荒れた歌声が炸裂する反抗のアンセム。若者の疎外感や虚無感を激しく叩きつけるようなサウンドと歌詞は、既存の音楽産業への強烈なカウンターとして受け取られており、“グランジ・ロック”と呼ばれる新しいムーブメントの中核として注目されている。
プロデュースを務めたのはブッチ・ヴィグ。地下音楽として支持されてきたニルヴァーナに、より洗練された音響的厚みを加えることに成功しており、インディーとメジャーの境界を突き崩す力強さがある。
コバーン(Vo./Gt.)、クリス・ノヴォセリック(Ba.)、そして新たに加わったドラマーのデイヴ・グロールが織りなす音は、80年代の商業的ハードロックやヘアメタルとは一線を画す。そのラフでノイジー、だが妙にキャッチーな感触が、10代・20代の若者を中心に急速に支持を集めつつある。
アルバムジャケットには、裸の赤ん坊がプールの中で1ドル紙幣を追いかける衝撃的なビジュアルが採用されており、商業主義への皮肉と象徴性が込められているとの声も多い。
今作が今後どこまでヒットするかは未知数だが、既に音楽界では「ロックの新しい波が来た」との声が広がっている。
— RekisyNews 音楽面 【1991年】