【ミッチェル飛行場(ニューヨーク州) 9月24日】
本日、アメリカ陸軍航空隊のジミー・ドーリットル中尉(32)が、操縦席を完全に目隠しした状態での離陸・飛行・着陸をすべて計器のみで行うという前人未踏の実験飛行に成功し、航空技術の歴史に新たな金字塔を打ち立てた。
この実験は、ニューヨーク州のミッチェル飛行場にて、陸軍航空隊・グッゲンハイム基金・スパリー社・フーパー社の共同研究により実施されたもの。ドーリットル中尉は密閉型キャノピーを用いて外界を完全に遮断された状態で、操縦席内の高度計、ジャイロコンパス、姿勢指示器、方向指示器などの計器類のみを頼りに飛行を行った。
飛行は極めて安定しており、滑走路からの離陸後、旋回・水平飛行・最終着陸までをすべて視覚なしで達成。実験を観測した関係者は「視界ゼロの状況での完璧な操縦であり、人間の感覚に頼らず計器に全面的に依存した飛行の安全性が証明された」と語る。
ドーリットル中尉はもともと、陸軍航空隊においてアクロバット飛行や高難度操縦で知られ、航空工学の学位も持つ理論派としても高く評価されていた。今回の成功により、悪天候時の飛行や夜間飛行の安全性向上に対し、大きな道が開かれたことになる。
今後、計器飛行の標準化やパイロット教育の変革に直結する技術革新として、今回の成果は世界の航空界から注目を集めることは間違いない。
— RekisyNews 科学技術面 【1929年】