【ニューヨーク 9月24日】
本日、ニューヨーク・フォレストヒルズのウエストサイド・テニスクラブで行われた1938年全米シングルス選手権男子決勝において、米国のドン・バッジ選手(23)が強敵ジーン・マコ選手を破り優勝した。この勝利によりバッジ選手は、全豪選手権・全仏選手権・ウィンブルドンを含む世界4大アマチュア大会を同一年内で制する「年間グランドスラム」を史上初めて達成した。テニス界における偉大な記録が、また一つ打ち立てられた。
決勝戦は4セットマッチ。バッジ選手は安定したサーブと圧倒的な脚力を活かし、マコ選手の反撃をしなやかにかわしてセットカウント3対1で勝利。屋外のグラスコートには晴天が広がり、観客は序盤からバッジのショット一つ一つに息を呑んだ。
バッジ選手は1月の全豪選手権を皮切りに、5月の全仏、6月のウィンブルドン、そして今回の全米シングルス選手権と、若き選手として史上初の四大大会完全制覇を成し遂げた。彼自身は試合後、「一戦一戦、ただ集中して戦った結果がこの偉業につながった」と冷静に語った。
1938年のテニス界では、国際的な大会がアマチュア選手によって支えられており、バッジの勝利はその伝統の中で特に高い評価を受けている。これが「テニスの四大大会(Australian, French, Wimbledon, U.S. National Championships)」という概念の確立にも寄与したことは間違いない。
世界中の新聞紙がバッジの偉業を大々的に取り上げており、ニューヨークだけでなくロンドン、パリ、メルボルンなど各地から賞賛の声があがっている。歴史の中で誰も為し得なかった記録の達成である。
— RekisyNews スポーツ面 【1938年】