【京都 9月24日】
本日、京都の北朝において、足利尊氏(あしかが・たかうじ)殿が征夷大将軍に任じられたことが正式に発表された。これは、朝廷に代わり武家政権を樹立しようとする動きにとって、極めて重要な節目となる。
尊氏殿は、かねてより後醍醐天皇に対して反旗を翻し、建武の新政の方針に異を唱えていた。昨年には光明天皇を擁して「北朝」を立て、京都を掌握。今年に入ってからも各地の武士たちの支持を得て、軍勢の統制力を増していた。
本日の将軍任命は、形式上は北朝(光明天皇)によるものであるが、実質的には尊氏殿が自らの政権を正統化するために進めていた布石の一環と見られる。征夷大将軍とは、かつて源頼朝が任ぜられて以降、武家政権の頂点に立つ者の称号であり、これにより足利政権は名実ともに幕府としての体制を整える運びとなった。
御所周辺では武士たちが騎馬で慌ただしく動き回り、武家方の旗があちこちに翻っていた。一部の市民からは「戦ばかりの時代に、新たな将軍が秩序をもたらしてくれるならば」と、期待の声も上がっている。
一方、南朝(後醍醐天皇)方は、いまだ吉野にて抵抗を続けており、朝廷が二つ並立する異例の政情は続くものと見られる。だが、尊氏殿の将軍任命により、武家政権が南朝との対抗構造の中で今後ますます存在感を増すことは疑いない。
— RekisyNews 政治面 【1338年】