英国の宝船、嵐に沈む──マーチャント・ロイヤル、ランズエンド沖で消息絶つ

【ロンドン 9月23日】

イングランド王国の貿易を担う大型商船「マーチャント・ロイヤル」が、今月20日夜、ランズエンド岬沖にて嵐のため沈没したとの報せがもたらされた。 船には10万ポンド以上の金貨や銀塊、貴金属、貴重な積荷が満載されていたとされ、その規模はかつてない海上損失として王室と商工会を震撼させている。

この船はスペインからの貴金属をロンドンへと運搬中であり、航路上で悪天候に巻き込まれたと見られる。 現地に派遣された救助船によれば、船体は突風と高波により破損し、深夜には完全に沈没。乗組員約80名のうち、大多数が海へ投げ出された。付近を航行していた「デクス・フォルトゥナ号」によって約40名が救助されたものの、船長含む複数名が行方不明のままとなっている。

この「マーチャント・ロイヤル」は、かねてより“黄金の幽霊船”の異名を持ち、スペイン領アメリカとの貿易で莫大な財宝を積んでいたことでも知られる。 特に今回は、スペイン王室へ向けた借款返済分として、イングランドへ移送中の正規の財宝とされ、その価値は国家予算の数年分にも相当するとの声もある。

国王チャールズ一世の宮廷筋からは、今回の沈没によって王室の信用にも打撃が及ぶことを懸念する声が上がっている。 すでに商務庁では、沈没地点の特定と財宝の回収について調査隊の派遣を決定。一方で、深い海底に沈んだ船体の探索は困難を極めるとの見方も根強い。

市中では早くも「宝船の呪い」などと囁かれるなか、今後の捜索と補償問題は、国内外に波紋を広げそうだ。

— RekisyNews 海事面 【1641年】

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