南仏カンヌで「映画の祭典」幕開け──第1回カンヌ国際映画祭が華やかに開幕

【カンヌ 9月20日】

本日、南フランスのリゾート地カンヌにて、戦後初となる国際的な映画の祭典「第1回カンヌ国際映画祭」が、各国の映画人を迎えて華やかに開幕した。カンヌ湾に面した新設の「カジノ・ド・カンヌ」には、映画スターや監督、プロデューサーたちが集い、世界の映画界が平和のもとに再び手を取り合う歴史的瞬間となった。

この映画祭は、本来は1939年に開催される予定だったが、直前に勃発した欧州での戦火により中止。7年の時を経て、ついに実現に至ったものである。開幕式ではフランス文化省の代表が「映画は世界の共通語であり、平和と理解をつなぐ架け橋である」と述べ、平和の象徴としての映画祭の意義を強調した。

今回は21か国から40本近い作品が出品され、ジャンルも多岐にわたる。米国からはビリー・ワイルダー監督の『失われた週末』、英国からはデヴィッド・リーンの『逢びき』、フランスからはジャン・コクトーの『美女と野獣』などが参加。さらに日本からも木下惠介監督の作品が特別招待作品として上映予定となっており、東西を超えた文化交流の舞台となっている。

カンヌ市はこの催しを通じて、単なる観光都市から「映画の都」へと脱皮を図る構えだ。市民の歓迎ムードも高く、地元の商店街では映画ポスターや関連商品が並び、通りはまるで映画スタジオのようなにぎわいを見せている。

映画祭は今月30日まで10日間開催され、最優秀作品に贈られる最高賞「グランプリ・デュ・Festival」が授与される予定。今後この賞がどのような権威を持つようになるか、世界中の映画関係者が注視している。

— RekisyNews 芸術文化部【1946年】

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