巨人・王貞治、阪神・村山実から7試合連続アーチ達成──前人未踏の快挙に甲子園どよめく

【大阪・甲子園 9月20日】

プロ野球セ・リーグの伝統の一戦、阪神タイガース対読売ジャイアンツ戦が本日甲子園球場で行われ、巨人の主砲・王貞治内野手(32)がまたしても記録的な一発を放った。阪神のエース・村山実投手との対決において、これで7試合連続となる本塁打。1人の投手からこれほど連続して本塁打を打ち続けるのは極めて異例で、球界史に残る快挙といえる。

この日、4回表の第2打席。村山が慎重に外角へ投じたスライダーを、王は見逃さなかった。弾丸ライナーで右翼スタンドへ突き刺さる第44号ソロ本塁打。観客席は騒然とし、阪神ファンからも感嘆の声が漏れる中、王は淡々とダイヤモンドを一周。塁上では敵味方問わず拍手が起こった。

王と村山の対決は、過去何度も名勝負を繰り広げてきたが、ここにきて王のバットが村山を完全にとらえている。今季すでに7本、すべて村山からの本塁打という異常なまでの相性の良さに、甲子園の虎党からも「仕方がない…」という諦念混じりの声が上がった。

試合はそのまま巨人が5対2で勝利。巨人はこれでマジックを減らし、リーグ優勝へまた一歩近づいた。一方で阪神の村山は、試合後報道陣の前で「王に打たれたことは悔しいが、本望でもある。あいつは偉大だ」と潔く語った。

一本足打法で時代を変えた王の打撃は、すでに芸術の域に達しているとも評されており、今回の記録は単なるデータではなく、昭和プロ野球の象徴的瞬間として記憶されることだろう。

— RekisyNews スポーツ面【1972年】

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