戦時教育の記述、教科書から削除へ──文部省が全国の学校に通達、墨塗りで対応

【東京 9月20日】

本日、文部省は全国の小学校・中等学校に対し、教科書に記載された戦時体制に関する記述の削除を求める通達を発出した。これは、ポツダム宣言の受諾により旧来の国家主義教育の見直しが急務となる中、当面の措置として戦意高揚を目的とした内容の排除を図るもので、各学校では該当箇所を生徒自身に墨で塗りつぶさせる「墨塗り教科書」として対応することになる。

対象となるのは、軍国主義思想を助長する文言や、戦争目的・敵国非難に関する記述国体観念を強調する一部の文章などで、特に国語・修身・歴史などの教科書に多く含まれている。通達は、教員が該当箇所を事前に確認し、生徒に墨を用いて該当文を塗りつぶすよう指導することを求めており、すでにいくつかの都市部では対応が始まったという。

東京市内のある国民学校では、児童が慣れない手つきで筆を持ち、教科書の一節を黙々と黒く塗りつぶす姿が見られた。教師の一人は「教育が急に変わることに戸惑いはあるが、次の時代に備える第一歩」と語った。

一方で、削除対象の判断基準があいまいなため、現場では混乱も生じており、文部省では今後、より明確な指針を示す必要があるとみられる。

占領下における教育改革の一環として、教科書の大規模改訂が見込まれているが、それにはなお時間を要するため、この「墨塗り」が過渡的な措置として今後数か月続く見通しである。

— RekisyNews 教育部【1945年】

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