【ダマスクス 9月19日】
本日、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の重要拠点であったシリアの都市ダマスクスが、正統カリフ・アブー・バクルの命を受けたイスラム軍の手に落ちた。カリフの後継者として軍を率いるハーリド・イブン・アル=ワリード将軍の指揮のもと、7か月にわたる包囲戦の末に都市は陥落。アラビア半島から進軍を続けてきたイスラム勢力にとって、シリア地方初の本格的な都市制圧となる。
包囲戦の最終段階では、城門の一部が内通者によって開かれたともされ、イスラム軍は市内への突入に成功。市民との大規模な衝突は避けられ、ハーリド将軍はキリスト教徒の保護と引き換えに、住民に対する一定の安全保障を与えると布告した。
この出来事により、東ローマ帝国はシリアにおける防衛の要を失い、今後の戦線縮小は避けられないとみられる。アンティオキアやエルサレムなど、他の主要都市にも波及する可能性が高く、地中海東岸全体における勢力図に大きな変化をもたらすと予想される。
一方でイスラム側にとっては、軍事的勝利にとどまらず、交易や宗教的な拠点としてのダマスクスの獲得は、拡大する帝国にとって極めて戦略的な意味を持つ。
イスラム軍がこのまま北方への進撃を続けるのか、それともシリアに統治体制を築くのか。動乱の渦中にあるオリエント世界の行方が、今後ますます注視される。
— RekisyNews 中東支局【634年】