【ワシントンD.C. 9月19日】
本日、アメリカ法務省は、著名な映画監督・俳優のチャールズ・チャップリン氏に対し、アメリカへの再入国を認めない旨の通達を発出した。チャップリン氏は現在、自身の新作映画『ライムライト』の欧州プレミアに出席するためロンドンへと向かっており、この発表は彼の渡航中に行われた。
法務省は、同氏の政治的傾向や過去の発言、ならびに共産主義との関連性の疑惑を理由に、再入国の際には「移民局による正式な事情聴取を受ける必要がある」と通告。しかし、この措置は事実上の再入国拒否と見なされ、チャップリン氏にとっては米国からの「追放」となる形となった。
チャップリン氏は長年にわたりロサンゼルスを拠点とし、『モダン・タイムス』『独裁者』など数々の名作を世に送り出してきたが、政治的風刺や社会批判的な表現により、国内の一部保守層や議会から「反米的」との非難を受けてきた。近年は赤狩りの動きのなかで、下院非米活動委員会(HUAC)による調査対象の一人ともされていた。
チャップリン氏はスイスに別荘を所有しており、今後は欧州を拠点に創作活動を継続する可能性もある。彼の広報担当者は「本人はこのような扱いに深く失望している」と述べたが、現在のところ正式な声明は出されていない。
この件は、冷戦下における思想統制と文化人への締め付けを象徴する出来事として、国内外に波紋を広げそうだ。
— RekisyNews 国際面【1952年】