インターネットの“住所録”を一元管理──ICANN設立、運用主体を民間へ移行

【ワシントンD.C. 9月18日】

本日、米国政府はインターネットの中枢的資源であるドメイン名やIPアドレスの調整・管理を担う非営利法人「ICANN(アイキャン)」の設立を正式に発表した。

ICANNとは、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(インターネット割り当て番号機関)の略称で、これまで米国商務省を中心に管理されてきたインターネット資源を、民間主導の国際的な組織に移行するための中核機関と位置づけられている。

これにより、インターネット上の「住所」ともいえるドメイン名(例:example.com)やIPアドレスの割り当て、ルートサーバーシステムの管理といった業務が、世界の多様な利害関係者(政府・企業・技術者・市民団体など)の代表が参加するICANNによって行われることとなる。

設立の背景には、インターネットの急速な商業化と国際化がある。米国政府は「オープンで透明性の高い、かつ国際的に責任を分担する管理体制」への転換を進めており、ICANNはその実現に向けた第一歩とされる。

一方で、各国政府からは「米国主導の構造が温存されるのではないか」といった懸念の声も上がっており、真に国際的な調整機関として信頼を築けるかが今後の焦点となる。

ICANNは今後、運用方針の策定や各レジストリとの契約調整を進め、実際の業務を段階的に引き継いでいく。

インターネットの発展が国家の枠組みを超えて進むなかで、「誰がネットの根幹を管理するのか」という問いに、ICANNがどのように応えるかが世界中の注目を集めている。

— RekisyNews 国際通信部【1998年】

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