豪州の家庭に“映像の窓”開く──テレビ放送、ついに本日スタート

【シドニー 9月17日】

本日夕刻、オーストラリアで初のテレビ放送が公式に開始された。最初の電波はニューサウスウェールズ州シドニーにあるTCN-9(チャンネル9)から発信され、これにより豪州はテレビ時代の幕を本格的に開けたことになる。

オーストラリア初の放送局となるTCN-9は、民間のナイン・ネットワークに属する商業局。この日の開局番組では、テレビの歴史やスタジオ設備の紹介に続き、人気歌手らによる音楽ショー、そしてニュース映像が放送された。

シドニー市内では数ヶ月前からテレビの販売が本格化しており、初日の視聴者数は推定5万人以上と見られている。家庭に設置された受像機の前では、初めて動く映像を目にした人々が歓声を上げたり、驚きの声を漏らすなど、「映像で見る世界」に夢中になっていた様子が各地で見られた。

また、11月にはメルボルンで開催される第16回オリンピック大会を見据え、放送網の急速な整備が進められている。これにより、各家庭でオリンピック競技の模様を生中継で楽しむことが可能になる見込みだ。

豪政府関係者は、「テレビ放送の開始は教育、娯楽、情報の分野に革命をもたらす出来事である。国民生活に新たな可能性が広がるだろう」とコメントしている。

ラジオ一色だったオーストラリアの家庭に、“映像の時代”が到来した。この新しい窓が、どのような未来を映し出していくのか──国民の期待は高まっている。

— RekisyNews 国際文化面 【1956年】

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