阪神・江夏、王から三振奪いシーズン奪三振日本記録を更新──甲子園沸く快挙の一球

【西宮・甲子園球場 9月17日】

プロ野球・阪神タイガースの若き左腕エース、江夏豊投手(20)が本日の対読売ジャイアンツ戦で、今季354個目の三振を奪い、日本プロ野球のシーズン奪三振記録を更新した。歴史的瞬間の相手は、巨人の主砲・王貞治選手甲子園球場に詰めかけた4万人の観客からは割れんばかりの拍手と歓声が上がった

この記録は、1951年に南海ホークスの杉下茂投手が打ち立てたシーズン351奪三振の日本記録を17年ぶりに更新するものであり、江夏の快投が新たな時代の到来を印象づけた。4回表、王をアウトローのストレートで見逃し三振に仕留めた瞬間、江夏は拳を軽く握りしめ、控えめながらも満足げな表情を浮かべた。

試合後のインタビューで江夏は、「相手が王さんだったので、記録の意味がより重みを増しました。まだまだ投げたいボールがある」と語り、さらなる飛躍を誓った。この日の奪三振数は10個で、通算は356個に達した

江夏は今季、異次元のペースで三振を積み重ねており、最終的には401個まで記録を伸ばす見通し。これは米大リーグを含めた世界記録更新の可能性すら視野に入っており、世界の野球界が注目する存在となっている。

阪神の後藤次男監督も「20歳でこの投球内容。天才というより怪物。うちの宝ですわ」と賞賛を惜しまなかった。

かつて“巨人一強”の構図が続いていたセ・リーグだが、江夏の快投が、勢力図を塗り替える大きな原動力となっていることは間違いない

— RekisyNews スポーツ面 【1968年】

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